1. 原価×3に設定したいけど…現実はそう甘くない
あみぐるみ作家として、作品を販売する際、理想としては「原価×3」で値段を設定したいところです。これは、作品にかけた時間や労力を反映させるために、妥当な価格だと感じているからです。
しかし、実際には原価×3で販売するのはかなり難しいのが現実です。今回は、具体的な例を使って、この価格設定の難しさをお話ししたいと思います。
2. 材料費と原価は違う
まず、覚えておいてほしいのは、原価=材料費ではないということです。原価には、単純に毛糸や綿などの材料費だけでなく、作業時間、梱包費、その他の経費が含まれます。これらすべてを考慮したものが「原価」です。
マスターも最初のころは勘違いしてたもんね
次に、材料費と原価を勘違いして価格設定してしまうと、どれほど大きな差が出るかを具体例で説明します。
3. 材料費×3の場合の計算例
例えば、毛糸200円のものを3玉使い、さらに綿代が200円かかるあみぐるみを作ったとします。
材料費だけを考えると、次のようになります:
- 材料費:毛糸200円×3玉+綿代200円=800円
この800円を3倍して価格を設定すると、次のようになります:
- 材料費×3の価格:800円×3=2,400円
「2,400円なら安いし、お客様も買いやすいかもしれない」と思われるかもしれませんが、この価格には作業時間や他の費用が全く反映されていないことを理解していただきたいです。
でも実際のこれくらいの値段がオンライン販売ではあふれているよね~
まぁ一番買いやすい値段ではあるよね
4. 原価×3の場合の計算例
次に、原価を正しく計算してみましょう。今回は、同じあみぐるみを作ったと仮定し、実際の原価を次のように計算します。
- 材料費:800円(毛糸200円×3玉+綿代200円)
- 作業時間:8時間×1,113円(東京都の最低賃金)=8,904円
- 梱包費やラッピング費:300円
合計の原価は、800円(材料費)+8,904円(作業時間)+300円(梱包費)=10,004円になります。
この原価に対して、3倍して価格を設定すると:
- 原価×3の価格:10,004円×3=30,012円
つまり、材料費だけで考えた「2,400円」とは大きく異なり、30,012円という価格になります。ここで、「この値段であみぐるみを購入してくれるか?」という疑問が出てくるわけです。
3万・・・!8時間の作業でこの値段で売れたら、ほんとうれしいよね・・・!
実際、販売する作品の編み図を完成させるのに1か月以上もかかりっきりになることを考えたら、これくらいの値段で売れたら作品開発の方にも余裕ができそう
5. なぜ原価×3が現実的ではないのか
この計算を見て、「30,012円であみぐるみを買うの?」と思うかもしれません。実際、この価格設定では多くの方にとって手が届きにくいでしょう。しかし、この価格には作家としての労力や時間、そして他のコストが正当に反映されています。
現実的には、私は原価×1程度で販売することが多いです。これでも、作業時間や労力が完全には報われない場合が多く、価格設定にはいつも悩んでいます。
原価×1だと1万円。それでも売れるかどうか瀬戸際の厳しい現実。
売り方を工夫すればいいのかもだけど、正直作る方に手いっぱいでマーケティング戦略にまで手が回らないのが現状だよね
6. 作業時間をどう工夫するか
原価×3で価格を設定できないと分かっているため、私は相場をリサーチし、「これならお客様に購入していただけるだろう」という価格から逆算して、作業時間を調整しています。
ただし、作業時間を削るだけでなく、作家としての誇りやクオリティを保つことも重要です。時間を短縮しても、作品の魅力を失わないように工夫しています。
あみぐるみって凝りだしたらいくらでも時間かけられるからね…
ちなみにネクシーの製作時間は10時間だったよ(オレは見ていた)
てことは・・・私は
材料費:800円
作業時間のコスト:10時間 × 1,113円 = 11,130円
合計原価 = 800円(材料費) + 11,130円(作業時間) = 11,930円
ってことになるかしら
3倍だったら・・・35,790円♪
マスターにとって私はそれくらいの価値のあるドールなのね♪
そ、そうだね…
7. 相場リサーチと販売の工夫
作家としては、価格設定がとても重要です。でも、それを決めるには、市場の相場や他の作家さんの作品の価格帯をしっかりとリサーチする必要があります。
例えば、SNSや販売サイトを活用して、人気のある作品の価格や販売動向をチェックし、自分の作品とのバランスを考えています。
それに基づいて、自分の作品の価格設定と作業時間の調整を行い、作品の魅力を保ちながらも、現実的な価格で販売することを目指しています。
形が似ていて、すでに安い値段で売られているジャンルにはそもそもマスターは手を付けようとしてないよね
そこで闘っても消耗するだけだし…
8. まとめ
あみぐるみの価格設定では、「原価×3」という理想を持ちながらも、現実的には原価×1が精一杯という状況が多いです。作家としての労力を正当に評価してもらいたいという気持ちと、お客様に購入しやすい価格に抑えたいという間で、常にバランスを取っています。
あみぐるみの価格には、材料費だけでなく、作家の時間と努力が詰まっていることを、ぜひ知っていただけたら嬉しいです。
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