フェイデンハウス物語 第二話五章

第五章 新たな自分との対面

アオイとグロッグは得体のしれない女性たちを鏡の前に連れて行った。静かな鏡の前に立たせると、アオイは決意を固めて口を開いた。「お館様…館でこの人たちを見つけたんですが…」

その瞬間、女性たちは鏡に目を移した。映った自分の姿を見た途端、驚愕の表情が広がる。

「きゃーーーーーーー!!!!」

まるで何かが解き放たれたかのように声を上げた。自分たちの灰色がかった肌や無表情な顔を見つめ、混乱と恐怖が広がった。

一人の女性は手を口に当てて震えながら後ずさりした。「いや、これ…私…?」鏡から目を離そうとするが、恐怖に駆られて動けない。別の女性は手で自分の顔を触りながら、信じられないという表情で「ああ、どうしよう…!」と叫んだ。

女性たちは恐怖で身をよじらせ、次々と叫び声を上げてパニックに陥った。周囲に散らばる道具にぶつかりながら逃げ惑い、暴れ回る。その姿はまるで恐怖に取り憑かれたかのようだった。

「や、やめてや!危ないで!」アオイは思わず叫んだが、パニックの波は収まらない。女性たちは叫び声を上げ、鏡の前で恐怖におののくばかりだった。

その時、鏡から強い光がフラッシュした。「何だ、これは!?」グロッグは驚いて目を細めた。女性たちは一瞬、目を閉じたかと思うと、次の瞬間、ふと我に返った。

静まり返った瞬間、彼女たちは鏡を見つめている。さっきまでの恐怖が嘘のように、彼女たちは立ち尽くした。アオイとグロッグは静かに出てきた。

彼女たちの目には涙が浮かび、変わり果てた自分の姿に悲しみが漂っていた。周囲の空気が重く感じられる中、アオイとグロッグはただ彼女たちを見守るしかなかった。

女性たちはそれぞれ自分の姿を受け入れようとしながら、互いに目を合わせた。沈黙の中で、彼女たちの心に変化が訪れる。鏡の前で、彼女たちは新たな運命を受け入れつつあった。

(第二話完)

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