フェイデンハウス物語 第一話四章

4.新たな出会い

池の縁に立ち尽くすカエルは、まだ周囲の世界に不慣れで、何をすべきかもわからず、ただ静かに立っていた。彼の心には、この新しい世界に対する不安が渦巻いていた。自分がなぜこんな姿に変わったのか、どうしてこんな場所にいるのか、その全てが謎だった。

その時、池の中にもう一つの波紋が広がり、ピンクのブラウスを着たカエルがゆっくりと姿を現した。彼女もまた、自分の変化に驚いていたようだが、少し周囲を見回してから、気丈に振る舞おうとした。

「なんやこれ…。あんたも、もしかして…同じように変わってもうたん?」彼女は戸惑いながらも、先に上がったカエルに声をかけた。

最初のカエルは、不安そうに辺りを見回していたが、彼女の声に反応して振り向いた。「そうみたいだ…。俺も気づいたらこんな姿で…どうすればいいのか、全然わからなくて。」

「わたしも同じやわ…。けど、二人おったらなんとかなるやろ?一緒に考えたらええねん。」彼女は自然に彼に寄り添い、その不安を和らげようとした。

二匹のカエルは、互いに寄り添いながら、初めての変化に戸惑いつつも、少しずつ安心感を得ていった。その様子を私は見守り続けたが、二人が心を通わせる瞬間、これ以上見てはいけないと感じ、そっと視線を空へと移した。

満月が雲間から顔を覗かせ、銀色の光が庭園全体を包み込む。その光を私は見上げながら、彼らが共に歩む新たな道を心の中で応援することにした。

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